2018年版『SPACE ECHO DELUXE』~サラウンド音響イベント・レポート

2019年1月、その幕を閉じるアーティスト達の自由な活動の場、西麻布『Super Deluxe』。そこで2004年7月から2006年6月まで全16回で定期的に行われていたSurround Event『SPACE ECHO DELUXE』

その首謀者、AO氏。

そう、音響・レコーディング・MIXエンジニアでその名を知られた重鎮であり、録音技師としてカンヌ映画祭のレッド・カーペットを歩き、昨今では還暦越えでのメジャー・デビューを果たしたミュージシャンでもある阿尾茂毅さん。

そんなAOさんのもう一つのキーワードが“サラウンド”。
「初めは、Super DeluxeでサラウンドでのバンドPAを試した事がきっかけかな。」(AOさん)
2004年の時点からPAでサラウンド!そして、その延長線上にあった、かつての『SPACE ECHO DELUXE』では、なんと最大26.2chを使用したマルチchでのイベントも行われていた、と!

そんな伝説的サラウンド・イベント『SPACE ECHO DELUXE』が、一夜限りの復活。

2018年12月2日。そこに集った、強烈な出演者たち。

evala
音旋響 (Omsenkyo)
sorto&nodo
Eiji Nexus6
・・・

“サラウンド”というキーワードをごく当たり前に消化してきたアーティスト達。

粛々と進められる会場、そして各アーティストのセットアップ。

会場を取り囲む、7chでセットアップされたスピーカー群。

メインには、常設のALTEC LANSING

後方からMARTIN AUDIO

「+mid」のLRサイド用にRCF

AOさんいわく、
「よくサラウンドのPAっていうと、グルグルまわしてくださいねー、なんて言われたりしますよね。」しかしながら、それは正しくもあり、正しくもないと。
「サラウンド = グルグル、というのが一般の方の意識ですが、実際に、特定の音がグルグル回ったらどうでしょう???そう、ただ気持ち悪いだけなんです。」

そして、再生システムに関して、
「スピーカー間の距離にもよりますが、細かすぎるサラウンド定位も、聞いている側はとても気になってしまいます。」更には、「聞いている人が不公平にならない様に」という配慮。
そうして帰結した「5.0+mid L/R」。AOさん流7chサラウンドPA。
今回は、「Super Deluxeの機材と持ち出しの機材を使って」観衆を包みこむ音響を作ろうと目論みます。


AOさんの機材をはじめ、アーティスト達のライブ用機器群からも複数のアウトプット出力。

VR、Immersiveのキーワードでその名を知られるevalaさんの今回のシステム・セットアップには、日本のマルチch界のキーマンの一人、ACOUSTIC FIELD INC. 久保さんの姿も。

evala氏(右)のアウトプット・セクションを確認中のアコースティック・フィールド 久保氏(左)

卓上に展開されたevalaさんのライブ・セット。

LIVID INSTRUMENTS CNTRL-R、RME MADIface Pro等が並ぶevala氏のデスクトップ

そこから繋がるシステム・アウトプットの中枢セクション。

マルチch.出力用コンバーター・セクション。卓上のMADIface Proからの信号をRME MADIface XT、Ferrofish A16 MK-IIがマルチch.出力する。

更に、各アーティストの幕間をマルチチャンネル“サラウンド”出力で、そしてSA-CDからのみの超高音質再生音で埋める、世にも稀なSA-CD DJ Chubinさんもスタンバイ。

手練れたちによる徹頭徹尾の没入“音”空間 『SPACE ECHO DELUXE』、ココに再生!


DJ Chubinさんによるマルチch.でのSA-CD DJでオープンした2018年版『SPACE ECHO DELUXE』。

照明の抑えられた会場に入った途端に聴覚が研ぎ澄まされます。

ライブのスタートは、舞踊曲からアンビエントまで幅広い作曲活動を展開するEiji Nexus6さん。

『SPACE ECHO DELUXE』当初からの参加メンバーでもあるEiji Nexus6さんの秀麗なサラウンド音響処理は流石のひとこと。

マルチch.アウトプットはFocusrite Saffire Proから

PC上に見えるサラウンド・パンナー

ROLI社BLOCKSの操作による生々しいリード楽器パフォーマンス。

懐の深いEiji Nexus6さんのパフォーマンスに会場のテンションも上がります。

続いて、会場の一角に球体スピーカーを使用したアンビエント空間を設置してのライブ・パフォーマンスを披露した音旋響(Omsenkyo)


ヒーリングのセラピストでもある叶さとみさんとミュージシャンのコウサカワタルさんによる音響ユニット。
叶さとみさんによるどこまでも深く澄んだシンギングリンによるドローン。

縁をこする奏法により驚異的な持続音を発する鋳物の楽器、シンギングリンを奏でる叶さとみ氏

コウサカワタルさんの奏でるグランドサロッド、三線による旋律。

インドの伝統楽器サロッドにオリジナル改良が加えられたグランドサロッド

そして距離を置いて聴こえてくるアンビエント・インスタレーションからの波音。

沖縄発の球体スピーカーHADOが使用された「バイ・ノーラル」アンビエント・インスタレーション。HADOスピーカーは、ステージ上にも設置され、各楽器の音声が拡声されていた。

静謐で清涼な「音響」が、会場全体に広がります。

続くパフォーマンスは、当日のシークレット・ゲスト、UNSURROUNDMAN

シンプルなPC画面、そして片手サイズの小型コントローラー。

X-Yスティック・コントローラーも装備した独faderfox社のmicromodul LV2コントローラー

そのストイックなライブ・セットで、観客の背後から“囲む”、硬質でヘビーなサウンド・トリック。尋常でない質感の音の塊(かたまり)が飛び交う空間に、自然に体が反応します。

それもそのはず、このUNSURROUNDMAN、実はYoung Juvenile Youthでの活動や映画『太陽の塔』のサウンドトラック等でも知られる、JEMAPURさんによるソロ・ユニット。

普段、JEMAPURさんはサラウンドでのトラック制作は行っておらず、今回も、2ミックスで制作後、サラウンド用にアップ・コンバートされたとのこと。それでも、十二分に空間へ音を放ち、独自の世界を構築していました。

そして、この日のヤマ場、その一。
「SEE by YOUR EARS」のキー・フレーズ。
“音楽”を突き抜けた、あまりに先鋭的な“音響”作品群。

世界各地の空間で音を操るevalaさんの“生”ライブ・パフォーマンス。

evalaさんは、かつて行われたSuper Deluxeでの26.2ch再生、その当事者の一人。この日のライブは、先だって行われた『MUTEK』の会場で披露されたパフォーマンスをベースに、更にch数を増やしてのver.アップ仕様。

薄暗い会場内に、evalaさんの音が“走り”、“轟(とどろ)き”ます。


なんという没入。
なんという空間支配。
ほのかな灯りのみのダークな会場で、間違いなく世界屈指の“才”が魅せた圧倒的なサウンド・パフォーマンスに、観衆も大喝采。

そして。

イベントのラストを飾る、首謀者AOさんによるユニットsorto&nodoのパフォーマンス。

阿尾さんによるフィールド・レコーディング・トラックが織り交ぜられるアンビエンス・トラック、繰り出される深いビート。
鍵盤ハーモニカ、シンセサイザー、エレキギター・・・様々な楽器、エフェクトから生まれる音の断片達。

集音用にスタンバイされたのは、SHURE 565SD。F.マーキュリーの愛したクラシック・マイクロフォン

AOさんの愛器のひとつ、Greco Cougerギターが登場

そして、確かな技術による音像の配置、コントロール。
AOさんの隣には、もうひとりのAOさん、YASUKOさん。


文字通り会場を包み込む、音で描かれたスケープ。サラウンドで体感する、生の音楽。


常態であるはずの、“音で囲まれる”「非」日常な空間音響、サラウンド。かつては実験的に捉えられていたこのテクニックをナチュラルなツールとして昇華している人々がいる、その事実。

視覚に頼らず、耳を超えた“五感”で聴くイベント空間『SPACE ECHO DELUXE』。

「こういうイベントがこれからどんどん増えていくことを願っています。」とAOさん。

また、どこかで機会があれば、是非!

(レポート by S.N.)

information:

evala
http://evala.jp
http://seebyyourears.jp

JEMAPUR
http://jemapur.net/

Omsenkyo
http://quantum-field-music.com/omsenkyo/

sorto&nodo
http://radiiludi1999.wixsite.com/sorto-and-nodo

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