iLoud MTM 製品発表会レポート(1)~新たなる“リファレンス”サウンド from Italy

小さなスペースでもきちんと聴こえる、というコンセプト。
最初の一台として、安心して使用できるモニター。
そんな、誰しもが思い描く理想を形にした製品。
イタリア・モデナ発、『IK Multimedia / iLoud MTM

2019年、盛夏の中、御茶ノ水RITTOR BASEで行われた製品発表会。

会の初めに、日本国内でのIK Multimedia製品の代理店を務めるフックアップの伊原社長が登壇。

今年、初めてイタリア、モデナの地を訪れたという伊原氏。
食事もおいしく、街並みもきれいなモデナ。
その一方で、モデナ、及びその近郊にフェラーリ、ランボルギーニの本社があることに伊原さんは驚きます。
モデナの属するエミリア・ロマーナ州の州都、ボローニャには、かのガリレオ・ガリレイ、コペルニクス、ダンテも在籍した欧州最古の大学、ボローニャ大学があり、現在でも大学と産業の連携が密にとられ、電子工学、機械工学を学びやすい、産業へ活かされやすい環境づくりが成されているとのこと。
そんなエミリア・ロマーナ州モデナに本社を置くIK Multimedia社内にもそうした素晴らしい人材が揃い、ソフトウェア、ネットワークの開発、楽器、エフェクターのシミュレーション等々、様々な専門家が個室で研究、開発に従事されているそうです。更に、IK Multimedia社は、ハードウェア基盤の設計から製造まで、自社内で完結させているとのことで、伊原さんも大いに感銘を受けられたそうです。

続いて、イタリア・モデナよりIK Multimedia社CTO、Davide Barbi / ダビデ・バルビ氏がリアルタイムのインターネット回線で登場。
ベーシストであり、オーディオマニアでもあるというバルビ氏。
まずはiLoud MTMの製品概要を語ります。

「MTMは、初めて手に入れるモニターとして、作業しやすく、すぐに判断できるモニターです。
それは、いつもいい音で鳴り、いつ聴いても楽しいモニターではありません。いわゆるHi-Fiモニターではなく、仕事で使う事のできる、素材を克明に、ある時は不公平に鳴る、悪い音は悪く鳴るモニターです。MTMはいつも素晴らしい音が聴こえる訳ではありません。もちろん、いい作品はとても素晴らしい音で聴こえます(笑)」

続いて、製品の特徴を語ります。

「ラウドスピーカーにおいて、低域は物理的な質量以上には鳴りません。そこで、MTMでは、デジタル技術により、数倍の質量と同等の特性を得ています。
昨今のエレクトロニックミュージックでは、低域が重要な要素となります。でも、多くの場合、サブウーハーや大きなスピーカーが設置できない小規模スペースで作業され、それでも低域のモニタリングは望まれています。MTMでは、40Hzまでの低域の成分をフラットに鳴らすよう調整しています。」

このリニアライゼーションについて。

「EQ補正ではないエンクロージャ内の音響補正で行っています。これらは、AmpliTubeでのスピーカーキャビネットの物理モデリング等で培った物理モデル・シミュレートの応用技術です。」

音量による周波数バランスの調整にも配慮されています。

「MTMでは、大きな音量で鳴らす際は60dBより下を軽減する事ができ、小さな音量の際には、低域を持ち上げます。それは、デジタル技術によって、簡単に切り替え可能になっています。」

そして、MTMの特筆すべき特徴、「Linear Phase / リニアな位相特性」について。

「MTMは、シメトリカル・デザインです。
ユニットを“Midwoofer-Tweeter-Midwoofer”と対称に配置することで、単焦点の“ポイント・ソース”で鳴っているかの様な振る舞いをします。
実際、MTMから50cm以上の距離で、完全にバッフルのセンターから音が聴こえます。」

多くのスピーカー製品では、「音量と周波数特性の関係」に注視してデザインされる中、IK Multimediaは「Phaseレスポンス/位相特性」に注視します。

「MTMのPhaseレスポンス(位相特性)は200Hz以上がフラットです。」

IK Multimedia の20年以上にわたる研究開発によるDSPデザイン、緻密に計算されたクロスオーバー、各ユニットのタイムアライメントにより実現した、極めてリニアな位相特性。
これは、市場の高価なモニタースピーカーでも成し得ていない驚異のスペック。

その効果。

「シメトリカルなデザインではない多くのスピーカーは、位相の乱れが生じています。
この位相の乱れを人の脳は修正、校正し、聴いているのです。その分、脳に多くの働きを強いています。その為、ミックス時により多くの時間と疲労がかかります。
MTMの3つのユニットからの音声は、遅くも早くもなく、同時に耳に到達します。位相の乱れが無いポイント・ソースでは、すべての音声が同時に耳に届くため、脳はストレスなく、ミキシングの判断もよりイージーになります。」

こうして獲得されたMTMの「トランスペアレント」かつ「ニュートラル」なサウンド特性。

その特性を更に多くの現場で実現する、もうひとつのトピック。

DSPキャリブレーション機能。
背面の端子に付属のマイクをセット、ボタンを押すだけのシンプル操作で手に入る、均質化された音場。

「例えば片側に窓、片側に本棚、という様なベッドルームでも、キャリブレーション補正によりMTMのトランスペアレントでニュートラルなモニターサウンドを享受する事が出来ます。」

前人未到の域にまで研鑽されたサウンド品質に加え、更なるDSP補正で得られる、徹頭徹尾モニタリングの為のサウンド。
新たなる“基準”になり得る、その実力、『iLoud MTM』

第一線の現場に立つマスタリング・エンジニアからの評価編に続きます!>>>

◆iLoud MTM 製品発表会レポート(2)~森﨑雅人氏が語る、モニターに求める“音”。

 


 

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