【新製品レビュー】VOX Continental / KORG KROSS2

The Animals、The Zombies、The Four Seasons、そしてThe Doors。1960年代に活躍したこうしたバンド名に反応する方であれば注目せずにはいられない、VOX Continentalオルガンの復活のニュース。

NAMM Showや楽器フェア等でそのモックアップが展示され、首を長くして待っていた皆様、お待たせ致しました。遂に正式なリリース情報です!

リリース情報はコチラ

そして時を同じくして、都内某所にて実機をチェックして参りましたので、詳細をお伝えいたします!

VOX Continental 73

ここでまず、オリジナルのVOXオルガンについて触れておきましょう。

VOXオルガンはハモンドオルガン等と同様に、パイプオルガンの構造に準じた加算合成(異なるオクターブや音程の組み合わせで音色を変化させる)方式の鍵盤楽器です。パイプオルガンのパイプに相当する音源は、ハモンドオルガンの様なトーンホイール(金属製の歯車の回転をエレクトリックギターと同様のピックアップで音声に変換する)とも異なり、トランジスタを用いた電子的な発振音を使用していました。12半音分用意されたマスターオシレーターの音程を分周することで全鍵同時発音が可能なこの方式は、ポータブルで安価なオルガンとして、1960年代から70年代にかけて主流の方式でした。

そのサウンドはパイプオルガンの荘厳さとも、ハモンドオルガンの重厚さとも全く異なる、独特の質感を持っています。何ともいえないチープでノイジーなサウンドは、冒頭に挙げたような1960年代のサイケデリックな雰囲気に欠かせない唯一無二の存在と言っても良いでしょう。特にドアーズの「ハートに火をつけて」のオルガンの音、といえば多くの方が具体的にイメージできるのではないでしょうか(オリジナルのContinentalを使用しています)。

もちろんその特徴的な音色、楽曲の知名度ゆえ、これまでも多くのキーボードの「オルガン」カテゴリーにも収録されている事の多いVOXオルガンですが、ドローバーの組み合わせ等によりその音色バリエーションは多岐に亘るため、一般的なPCM音源等での再現には限界があります。こうした背景を踏まえ、更に本家「VOX」だからこその拘りが生んだ鍵盤楽器が、今回の新生「Continental」となる訳です。

特徴的な「スカーレット(緋色)」カラー、そして立体的なロゴマーク。往年のVOXオルガンのデザインを現代的にブラッシュアップされたディテールは、見ているだけでも気分が盛り上がります。

とはいえ、新Continentalは単なるVOXオルガンだけに留まらない「ステージ・キーボード」としての側面も持っています。VOX伝統の白黒反転鍵盤をあえて採用しなかったのには、オルガン以外の要素と純粋な視認性を重視した結果なのかもしれません。

 

ORGANセクション

やはりメインは「オルガン」セクション。VOX Continentalの忠実なモデリング音源に加えて、ハモンド系のトーンホイールオルガン「CX-3」、イタリアのコンボオルガンFARFISAを再現した「COMPACT」も用意されています。勿論コーラスやロータリーエフェクト等の専用エフェクトも搭載されていますから、ゴリゴリのハードロックからステレオラブ的お洒落サウンドまで柔軟に対応します。ファルフィッサの「MTB」機能もちゃんと搭載されているのには恐れ入りました!

そして注目はこのドローバーセクション。何とこちら、物理ドローバーでもボタンでもなく、指を触れるだけでコントロールできるタッチ式となっています。ハモンドの場合は9本のフル・ドローバー、VOXの場合は6本のドローバー+関連コントロール、ファルフィッサの場合はタブスイッチと、アサインされるパラメーターが変化します。

ちなみにこの鍵盤も新設計との事。角が綺麗に面取りされたウォーターフォール鍵盤なので、グリッサンドしても痛くありません。

 

E.Piano・Piano・KEY/LAYERセクション

新生VOX Continentalはオルガンだけじゃありません!エレピ、ピアノ、そしてその他音色と3つのセクションが用意されており、それぞれのON/OFFによる選択やレイヤー、音量バランスの調整も直感的に操作できます。

こんな感じのステージキーボード、どこかで見たことある気もしますが、きっと気のせいです(笑)

とにかく、それぞれのセクションの本気っぷりが半端ないです(笑)。ベロシティレイヤーではなく、ダイナミクスに滑らかに追従して暴れるエレピは勿論ローズにウーリッツァー、FMエレピの3モデル、更に各種バリエーションが用意されています。アコースティックピアノもコンサートグランドにアップライト、さらにヤマハCPまで収録。そしてKEY/LAYERセクションにはレイヤー用のストリングス/パッド系は勿論、アナログモデリングシンセに各種PCM波形等、ステージで必要とされる音色はほぼ網羅。多分、ステージではコレ一台で大抵の場合事足りると思います。

右端のエフェクト・セクションも直感的。ちなみにKEY/LAYERセクションのサウンドパラメーターやグラフィックEQ等は、ドローバーセクションのタッチ式パネルでコントロール可能です。

話題の超小型真空管Nutubeも搭載、微妙な隠し味的ウォーム感の付加や音楽的なドライブ感も思いのまま。

「DYNAMICS」コントロールは、ベロシティカーブやサウンドのニュアンスを複合的にコントロールしている感じでしょうか、いつもの演奏しやすい鍵盤タッチを変えることなく、ハードなタッチでドライブするサウンドからソフトでメロウなサウンドまで、一つのノブで自在にコントロールできます。「ppでの繊細な演奏ではテンポ感を維持するのが難しい」「ついつい盛り上がって強めのタッチで弾き続けてしまう」等、特にエレピの演奏時に様々なシチュエーションで活用できそうですね。

 

スタンド&ペダル付属

VOX Continentalには、専用スタンド&エクスプレッションペダルも付属します。往年のZ型スタンドを彷彿とさせるスタイリッシュなスタンドは、4箇所の化粧ネジでContinentalの底面をガッチリ固定。角度&高さは自在に変更できるので、客席側に上面を向けて、ショルダーキーボードのように演奏する手元を見せることも可能です。

 

 

ピアノやエレピの頻度が高く、鍵盤1台でステージに立つのなら73鍵、ピアノの上に置くオルガン、という位置づけならば61鍵、でしょうか。

伝統のブランドとネーミングを引っさげて、あの「赤い」キーボードに真っ向勝負を挑んだ感のある新「Continental」。今後のステージキーボードの定番機となり得るポテンシャルを持った快心の一台と言えるでしょう!価格・発売日等詳細は後日発表予定です。ご期待ください!!

 


 

同日、軽量ワークステーションシンセ「KROSS」の後継モデル「KROSS2」も発表されました。

初めての一台に最適なシンセサイザー「KROSS」。従来モデルよりもサウンド機能を大幅に強化、サンプラーやオーディオ・レコーダー等機能も充実しています。そして何より、3.8kgというクラス最軽量の重量もポイントです。一般的なエレキベースよりも軽く、多くのエレキギターと同等の重量ですから、練習に持ち歩くのも苦になりませんね!

通常モデルのカラーは「Super Matte Black」。製造にコストも手間も掛かる、高品位なラバー塗装を施すことで、何とも言えない高級感を実現しています。

光ります!

更に、限定生産品のKROSS 2-61-RM(Red Marble)。近年、ギター&ベースやハンドメイド・エフェクター界隈でも目にすることが増えてきたラップ塗装を施したモデルです。

丸めて皺を作ったラップの表面にメタリック塗装を吹いて、本体表面に押し付けて塗っていく特殊塗装。その工程上、同じものは二つとありません。インパクト抜群ですね!


また、VOXより新しいキーボードアンプも発表されました。

VOX VX50KB

Nutube搭載、50W大出力のコンパクトな真空管ポータブル・キーボード・アンプです。指一本で持ち上げられる程の軽量筐体ながら、同軸スピーカーユニットによるワイドレンジなサウンドは想像以上です。「軽いアンプは音も軽い」という先入観を簡単に覆される良音アンプでした。3系統の入力が用意されているので、ちょっとしたライブPAにも使えそうですね。


他にも、注目の新製品目白押し!KORG/VOXの怒涛の新製品、ご期待ください!

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