【開発者インタビュー】Roland V-Combo VR-730/VR-09-B

FUJI ROCK FESTIVALやSUMMER SONICを筆頭に、日本国内でも大きな盛り上がりを見せる「フェス」。世界中のミュージシャンの間でも、音楽活動におけるライブの比重は非常に大きくなっています。キーボーディストにとっても、ライブステージでの演奏に比重を置いた「ステージピアノ・ステージキーボード」の重要性は年々高まっています。

各社個性的な製品がひしめくこのカテゴリに、ローランドが新たに送り込んだ新作「V-Combo」。その実力を確かめるべく、鍵盤堂スタッフが早速実機をチェック、開発者インタビューの模様をお届けします!



Roland V-Combo VR-730

新たなV-Combo、VR-730です。実機は事前に公開されていた製品写真に比べて、エッジがシャープで実に精悍。正統派の丹精な佇まいを見せています。派手な色遣いではなく、あくまでプレイで魅せる、職人肌なキーボーディストに似合う印象ですね。

基本的な操作系、サウンドキャラクターはVR-09に準じていますが、ちょっと印象が違う・・・?
あれこれチェックしていたら、今回のV-Combo開発者であるローランド・第三開発部の小林圏(こばやし・けん)さんが登場。以降、お話を伺いながらV-Comboの実力に迫ります!

 


鍵盤堂(以下K):今日はよろしくお願いします。まず最初に、VR-730を開発した経緯についてお伺いできますか?

ローランド小林さん(以下R):従来のV-Combo(VR-09)は、非常に軽量で操作性も良く好評を頂いていたのですが、より本格的な鍵盤タッチの要望が非常に多かったんですよね。更に、サウンド面・デザイン面双方も改良し、ピアノ演奏にも対応する73鍵モデルとして生まれたのがこのVR-730になります。

K:ウォーターフォール鍵盤はオルガンの演奏に欠かせないですからね。オルガン音源では、ちゃんと浅いストロークでも発音しますし。

R:鍵盤はその楽器のポテンシャルを一番引き出せるものを毎回吟味して搭載しています。ウォーターフォール鍵盤で本格的なオルガン演奏がこなせるのはもちろん、V-Comboはピアノやエレピの演奏性も重視していますので、タッチにもこだわっています。

K:確かに、これくらいバネが強めで重いタッチの方が、ピアノやエレピを演奏する際には弾き易いかもしれませんね。

R:ええ、ですからオルガン、ピアノ、シンセがどれもしっかりと弾けるようなバランスの取れた鍵盤ということで、今回新規に採用しました。

K:成る程。この鍵盤タッチの印象もあるかもしれませんが、オルガンの音もVR-09とはちょっと違う印象を受けましたが、新設計の音源なのでしょうか?

R:オルガン音源は、VKシリーズのオルガン・モデリング音源を継承しています。勿論、各部改良を加えていますが、基本的には同じ系譜といって良いかと思います。但し今回、ロータリーシミュレーターに新しいモデルが加わっています。「TYPE3」という名前が付けられており、今回の製品ではこれがデフォルトに設定されていますから、音の違いに関していえば、この部分の影響が強いかと思います。

K:ロータリーシミュレーターは単に音を揺らすだけじゃなくて、プリアンプ的な側面も持っていますからね。今回の「TYPE3」、どんなロータリースピーカーを再現したモデルなんでしょうか?

R:もちろん、既存のロータリースピーカーを参考にしてはいますが、今回のTYPE3については、本物の特性とは少し違うものになっているんです(ニヤリ)。

K:???

R:従来は、本物の様々な特性を忠実に再現していたんです。でも、実際に皆様にステージで使って頂くと、どうやらイメージしていた音では無いようでして。
実際、本物のロータリースピーカーって低域も高域も思ったほど出ていないんですよね。レンジも意外に狭く、極端に低域が腹にガツっと響いたり、上が抜けたりしないんです。

K:私達の頭の中で鳴っているオルガンの音って、本物の音というよりはスタジオやPA側で作りこまれた加工後の印象である、ということでしょうか?

R:正にそういう事なんです。このTYPE3はPAから出ている音を目指して調整しました。ですから、本物より上も下も出ています。回転感も極端な位派手に回ります(笑)。

K:より「判り易い」サウンドにデフォルメしている訳ですね。確かに、本物のロータリースピーカーをマイクで拾って以降のプロセッシングを外部のエフェクターやPAに委ねるのも現実的ではありません。PAから出てくる音を最終的なものとして考えるのであれば、こうした方向性は理に叶っていますね。

R:様々なミュージシャンの方に試して頂きましたが、非常に好評を頂きました。私自身、バンド内で試してみましたが、とても気持ちよく演奏できる音になったかと自負しています。

K:実際のステージで鳴らしてはじめてその真価が発揮できる訳ですね。

R:はい。更に他にも様々なパラメーター値の可変幅を大きくとり、皆様のイメージ通りのオルガンの音を作れる余地を持たせています。例えばこのキークリック。キーON/OFFそれぞれのタイミングで一瞬音に混ざるノイズ成分ですが、通常ではありえない音量まで上げることができます。

K:なんて大胆な・・・(笑)

R:特に歪ませたりした時に、更にアタックが強調されますね。多方面からのヒアリングの結果、状況によってはこれ位極端な方が気持ちよく演奏できるんだ、という事が判った訳です。

K:更に、VK以来お得意のリーケージノイズ(音漏れ)も上げて、更にオーバードライブを上げて・・・ここまでダーティなオルガンサウンドは滅多にありませんね。オーバードライブはこれ(OVERDRIVEノブ)1種類ですか?

R:このノブのオーバードライブは1種類だけですが、MFX(マルチエフェクト)内のディストーションエフェクトを更に重ねることができます。

K:超ハイゲイン(笑)

R:今回、歪みに関してはドライ/ウェットのミックスコントロールを新たに用意しましたから、派手に歪ませた状態に元音を混ぜることで、音の分離感、コード感をちゃんと聴かせることもできるかと思います。
あと、細かいところですが、ディスプレイ上に各ドローバーの値を0から8の数値でも表示させるように変更しました。「88 8400 000」みたいな数値でセッティングを覚えている方も多かったので、そうした要望に応えた形になります。

K:オルガンのモデルはこれまで通り3種類ですね。ロックオルガンとジャズオルガンは勿論「H」系、「トランジスタ」は・・・今ちょっとタイムリーな「V」ですよね(笑)?「F」は入っていないのでしょうか?

R:はい、「V」です。「F」は搭載されていません。

K:ドローバー部にはちゃんと「V」に対応した表記がありますね。
そういえば、VR-09もそうですが、背面にPK端子がありますね。現在PKシリーズの足鍵盤は発売されていませんが、従来機種ユーザーの方のための配慮でしょうか。それとも今後予定があるのでしょうか?

R:今後について、現時点では何も決まってはいませんが、やはりオルガンですからPK端子は残しておかないと、ですね。勿論PKを接続するとペダルパートが有効になります。ドローバーコントロールも可能です。

K:やっと「ピアノ」パートです(笑)。

R:ここは、基本的にPCM音源でピアノやエレピ、クラビネット等の鍵盤楽器のサウンドを収録しています。

K:コンサートグランド系だけでなく、「SA」や「JD」といったピアノがローランドさんらしい所ですね。エレクトロニックでダンサブルなアレンジには欠かせません(笑)

R:ええ、更に今回、エレピグループの最初に保存されている「75 Tine EP」が目玉と言えるかと思います。RD-2000でご好評頂いている1975年製Rhodes Mk.IサウンドをVR-730用に移植しています。

K:と、いうとSuperNatural系のモデリング音源なのでしょうか?

R:いえ、通常のPCM音源となりますが、通常の音色2つ分の領域を贅沢に使ったものとなっています。8段階のベロシティレイヤーを組んでおり、タッチに追従した滑らかな音色変化を実現しています。

K:シンセサイザー・パートも充実していますね。

R:はい。様々なヴィンテージ・シンセの代表的なサウンドがプリセットされており、カテゴリ別に素早く呼び出すことができます。有線/無線共に使える(※共に別途アダプターが必要)iPadアプリの専用エディターを使えば本格的な音作りも可能です。

K:Axial(音色拡張ライブラリー・サイト)経由での音色の供給もできるとの事ですが、長期に亘るサポートも期待して良いのでしょうか?

R:このVR-730のシンセエンジンは、JUPITERシリーズと同等のものを搭載しています。JUPITERシリーズにはご存知の通り、膨大な音色資産がありますから、これらを変換して供給していくだけでも大変です(笑)。ですから、長期間に渡って新しい音色を拡張してお楽しみ頂けるかと思います。

K:ちなみに、このクラスでも電池駆動できるのは驚きでした。とはいえ、電池駆動を実現するためのアナログ回路の省電力化、電圧降下によるサウンドへの影響を心配しているのですが・・・

R:まず、設計上音質を下げてはいません。勿論、電池が消耗することで電圧が降下すると、特に出力部のアナログ回路で音質面に影響が出るものなのですが、弊社の電池駆動対応機器ではそうした状態に達する前の段階でシャットダウンする設計になっています。言い換えれば充電式ニッケル水素電池で約5時間、という演奏時間は「どうにか動く」状態ではなく、「設計通りの最高音質で駆動する時間」であると思ってください。

K:起動している状態であれば、音質低下は無いと考えて良い訳ですね。安心しました。

R:ストリートライブ、本番前のステージ袖での確認など、いつでもどこでも演奏できる電池駆動のメリットを活かして頂ければと思います。

K:そしてそして!忘れちゃいけない”D-BEAM”!今回のV-Comboにも、継続して搭載されていますが、これはやはりユーザーの方からのリクエストが多いからなのでしょうか?

R:演奏に集中している最中、物理的なスイッチを狙って操作するのではなく「何となく手をかざす」だけでロータリーのスピードが切り替えられるのは、やはり便利です。従来モデルのユーザーの方の中でも、こうした感覚的な操作に慣れている、というお声も頂いておりますので、D-BEAMは引き続き搭載しています。

K:トリッキーなエフェクトを派手な身振りで操作するのも、ステージ映えしますもんね。

K:外観ですが、実際に見ると印象が違いますね。恰好良いです!

R:ありがとうございます。

K:ド直球で申し訳ありませんが、赤くないですね(笑)。

R:(笑)はい、やはりオルガンやピアノ等がメインのステージ用の楽器ですから、伝統的でヴィンテージ感のあるデザインを心がけました。

K:両サイドのウッドパネルも良いアクセントですね。無垢の木材ですか?

R:ええ、無垢材を使用しています。この部分のデザインや素材も、開発段階でいろいろ試作しています。アルミのパネルを取り付けてみたら・・・

K:まんまジュピターですね(笑)

R:ええ、途端にシンセっぽくなります。実はこの部分、簡単に取り外すことができるので、将来的にカスタマイズなどできようになると良いな、とは思っています。

K:ゴージャスなエキゾチック・ウッドを切り出したり、塗装に凝ってみたり・・・それは楽しそうですね!更に、ライバル機が傾斜の無いパネルデザインだからなのか、横からみて三角形のシルエットは精悍で、ステージ上でも大きく見える印象です。重量は・・・

R:9.9kgです。決して軽いわけではありませんが、見た目の印象に比べると非常に軽く感じると思いますよ。

K:(持ち上げてみて)・・・ホントだ!これなら電車移動も現実的ですね。

K:最後にVR-09-Bについてもお伺いします。こちらも、VR-730の基本的な機能とサウンドを引き継いだ、VR-09のアップグレードモデルと理解しても良いのでしょうか。

Roland V-Combo VR-09-B

R:はい、特に今回のポイントである「TYPE3」ロータリースピーカーのサウンドを始め、基本的な部分は共通しています。主な相違点としては、「75 Tine EP」などの追加音色が搭載されていないことと、鍵盤の違い程度となりますので、オルガン音色や機動性を重視される方にとってはこちらもオススメです。

K:従来のVR-09からの無償アップデートも可能なんですね。

R:ええ、RolandのWEBサイトから入手できるアップデータを適用することで、VR-09-Bと同様の内容にアップデートされます。VR-09-Bのパネル上のモデル名表記が「VR-09」のままなのも、あくまでマイナーチェンジ的な意味合いがあるからです。。

K:ここでユーザーの皆様にご注意を。アップデートの手順は少々複雑なので、ちゃんと説明を読んでから作業してくださいね。あとアップデートに1時間程度の時間が必要なので、余裕のあるときに行いましょう。

R:はい(笑)

K:一度アップデートさえしてしまえば、従来モデルでも最新モデルと同等のサウンドに進化するのはやはり嬉しいところですね。

R:特に新しいオルガンの音(YTPE 3)は、大音量で鳴らせばその違いが直ぐに体感できると思います。5.5kgという重量も、電車移動の多い方にとっては魅力的な選択肢となるのではないでしょうか。

K:鍵盤数とタッチを重視するならVR-730、機動性重視ならVR-09-B、サウンドはほぼ同じ・・・どちらも魅力的な、悩ましい選択肢ですね!今日はどうもありがとうございました!


鍵盤堂・安部(左)とローランド第三開発部・小林圏さん(右)

 

如何でしたか?あえて「オリジナルの忠実な再現」ではなく、ステージでの弾き易さや音抜け、PAからの最終的なサウンド重視したデフォルメ的発想は、非常にローランドらしい、柔軟で現場のニーズに沿ったソリューションであると感じました。サウンド&ルックス共にライブで存在感を発揮する即戦力鍵盤楽器”V-Combo”、是非ご注目ください!

 

Roland V-Combo VR-730

Roland V-Combo VR-09-B

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