ハイスペックなSSLオーディオインターフェースのフラッグシップ モデル『SSL12』を徹底解剖!

SSL2/2+リリースから3年。遂に出たハイスペックなSSLオーディオインターフェースのフラッグシップ モデルSSL12

■主な特徴

・数十万円クラスのオーディオ製品に採用されるESS社製 32ビット/192KHz AD/DAコンバーター搭載。高精細な音質を提供

・アナログ出力部のオーディオパーツをグレードアップ

・モニター/HPコントロールがTHE BUS+にも採用されているデジタルコントロールを採用。

レベルによるLRの音質の差を極限まで小さくしマスタリングクオリティのサウンドに。

・専用ソフトウェアミキサーと連携して詳細なモニターミックスを作成可能。

・ 入出力ともに最大+24dBuのオペレーティングレベルを実現。

・SSL2/SSL2+と同じ-130 dBuのローノイズと62dBもの広大なゲインレンジを持つ・SSL a Pre を4機搭載。ローカット、2ch分のHi-Z入力を前面に別に装備などSSL12だけの機能も搭載。

 

■SSL12 ストーリー

SSL2/2+はモバイルやツアー中のプリプロ、DTMビギナー、ラップトップだけのシンプルなシステムにSSLクオリティを提供するために開発されました。

それ故に機能もハードウェアもなるべくシンプルになっています。

その一方でSSL2/2+にのみ搭載されたプリアンプ SSL a Pre と 4Kサーキットは多くのスタジオやプロフェッショナルなユーザーから支持され、そしてより大きくて複雑なシステム環境でも対応できるオーディオインターフェースの要望が多く届きました。

プリアンプ部、4Kサーキットはそのままにローカット、個別のHi-Z入力、トークバック、2系統のモニタースピーカー出力、ソフトウェアミキサーと連携してのモニターミックスの作成など機能面を大幅に追加。

ハード面でもESS社の32bit/192KHz AD/DAチップを採用し、より高精細な音質を実現し、それに合わせてアナログ出力部の回路もグレードアップしました。

特にSSL12はTHE BUS+にも採用されているデジタルコントロールを採用し、モニタリング時の音量レベルによる音質の差、LRのレベル差を極限まで小さくしています。

SSL12はその音質、ハードウェアのグレード、機能面からみて他社の同等クラスの製品よりも割安に感じるかもしれません。

SSL12はフラッグシップモデルではありますが音質に影響しないノブや筐体の一部、カラーリングをSSL2/2+と同じものにしました。また、付属プラグインもSSL2/2+と同じ“SSL Production Pack”です。こういった部分でコストダウンを図っています。

そのためSSL12はSSL製品の中でもコストパフォーマンスの極めて高い製品となりました。

SSL12は1台でワークステーションの中核となるようスタジオ全体をまとめるハブとしての機能、高品位なプリアンプそして高いモニタリング性能を持ち合わせたSSLオーディオインターフェースのフラッグシップモデルです。

 

■基本情報

・12in/8out/MIDI IO

入力:TRS/XLRコンボ  マイク/ライン切り替え アナログ4系統(HI-Z切り替え2系統)+ADATデジタル8系統(最大)

出力:TRSアナログ4系統+ヘッドホン2系統(TRSライン出力モノ2系統へ切り替え可能)

・各アナログ入力CHに48Vファンタム電源、ローカット

・USBバスパワー駆動

・USB-C 接続

・電源スイッチ

・トークバックマイク搭載

■各機能詳細

<マイクプリアンプ;SSL a Pre>

・SSL2/2+/12のマイクプリアンプ SSL a Preは

SSL の代名詞的プリアンプ  SuperAnalogue™ Mic Preの音質のイメージをUSBバスパワー駆動で実現することを目的に開発された62dBもの広いゲインレンジとローノイズを実現したマイクプリアンプです。

その音質はSSLコンソールのヘッドアンプと同じく透明感のあるクリアでスピード感があり、原音に忠実な音質です。

マイクプリの回路に一般的な IC 回路を使用せず、SSL開発チームによって選定されたディスクリートのローノイズトランジスターと IC を組み合わせ、2ステージ構成の回路をデザインしました。

<4K サウンドエンハンスメント>

マイクの生の音は、時に少し「元気がない」、あるいは「生気がない」ように聞こえることがあり、それを生き生きとさせるには何かが必要です。

そのような場合 4Kスイッチが解決のよいソリューションとなります。

4Kスイッチは、SSL 4000シリーズコンソール(多くのサウンドエンジニアは’4K’と呼びます)の特徴的なサウンドにインスパイアされ開発された、まったく新しいアナログエンハンスメントエフェクトです。

4Kスイッチは、4000シリーズコンソールのサウンドの2つの本質的な特徴を1つの回路に凝縮し、入力ソースに ”生命” を吹き込む必要があるときに使用します。

 

高周波数帯域のEQブースト

4Kスイッチを押すと、4000シリーズのEQが得意とする「前へ前へ」と押し出すような音楽的な高域EQブーストがかかります。

 

魅惑的なハーモニックディストーション

4Kコンソールは、コンソール自体に信号を通過させることで、ある種の “魅力 “を与えることができる代名詞となっています。4Kスイッチでは、最新のコンポーネントを使用し、入力ソースに甘く魅惑的な音質を実現する高調波ディストーションを注入する回路を作成しました。

<アナログ/デジタル各領域をグレードアップ。マスタリングクラスのモニタリングを提供>

SSL12は独自の技術により世界最高峰のオーディオ DACを開発し多くのハイエンドオーディオ製品に搭載されるESS Technology社製32bit / 192kHz DACを採用。ハイスペックなDACチップに合わせて出力・モニタリング部のアナログ回路にもハイグレードなコンポーネントを採用、120dBを超えるダイナミックレンジを実現しています。

さらにモニタリング・コントロール部にTHE BUS+ と同様のデジタルコントロールを採用することでL/Rのレベル差・音質の差を極限にまで小さくし、正確なステレオトラッキングを実現しました。

その正確さはMonitor Levelが小さくても、大きくても変わることはなく、いかなる音量でもイメージの変わらないモニタリングが可能です。

<+24dBuオペレーティングレベル>

SSL 12 は入出力がバランス回路となっており最大 +24dBu のレベルで稼働できるため、プロフェッショナルなアウトボードやラインレベル機器とシームレスに接続できます。

SSL12はUSBバスパワー駆動のインターフェイスという利便性を持ちながらプロフェッショナルな環境のスタジオでも十分に機能できるように設計されています。

 

<全ての出力がDCカップリング出力設計>

ヘッドホン出力を含むSSL12の全ての出力はDCカップリングされています。

出力をDCカップリングすることでコンデンサーを使用することがなくなり、オーディオクオリティの向上とヘッド―ルームの確保につながり音質全体を向上させます。

また、DCカップリング出力はモジュラーシンセサイザーなどのパラメーターを制御することができるCV情報などを送信することもできます。

<ソフトウェアミキサーとの連携で柔軟なルーティング>

SSL12の最大の特徴はソフトミキサーとの連携です。

SSL12 ソフトウェアミキサーは SSL DAWコントローラー UF8 や UC1 の設定アプリ、ヴァーチャルミキサーとしてリリースされている SSL360に組み込まれています。

SSL360をインストールすることでSSL12ソフトウェアミキサーは起動します。

ソフトウェアミキサーはアナログ、ADATデジタルインプット、LoopBack、トークバックなどの入力からラインアウト、ヘッドホンアウトの出力までのルーティングをコントロールでき、詳細なモニターミックスを作ることができます。

SSL12専用ソフトウェアミキサーはSSL12本体に流れる信号をリモートコントロールするものでソフトウェアミキサー自体に音声は通っていません。それ故にソフトウェアミキサーを使うことでの遅延や音質劣化はありません。

<コンソールライクなGUIで操作性抜群なソフトウェアミキサー>

SSL12ソフトウェアミキサーはSSLコンソールを模したユーザビリティの高いGUIになっています。SSLコンソールは音質だけではなくその高いユーザビリティも高く評価されています。

一度なにかしらのミキサーを使ったことがある人なら直感的にヘッドホンミックス、モニターミックスを作ることができます。

ステレオリンクやDIRECTアサイン、Follow Mix機能、DIMレベルやALT スピーカートリムなど便利な機能も搭載しています。

<スタジオのハブとして機能する機能性と拡張性>

SSL12はADAT デジタル入力を1系統を搭載しており、48kHz/24bitの信号を最大8ch入力まで拡張できます。

また、CH1/CH2は前面にHi-Z入力を搭載しているのでケーブルの抜き差しや背面の接続を変更することなくギターやベースを直接SSL12へ繋げることができます。

そしてトークバックマイクを搭載しているので演奏者とのコミュニケーションも万全です。

 

SSL12の特筆すべき柔軟さはヘッドホン出力にあります。

2系統のヘッドホン出力は接続するヘッドホン(イヤホン)の種類に合わせて<通常のヘッドホン><ハイインピーダンスヘッドホン><インイヤーモニター>とインピーダンスとレベルを変更することができ、ユーザーがどのようなヘッドホンを所有していてもの最適なヘッドホンモニタリングを実現します。

また、2系統のヘッドホン出力はそれぞれTRSバランス モノライン出力に変更することもでき、ヘッドホンを使わない(または1つしか使わない)場合にはライン出力を追加することができます。

 

また、本体にあるCUT / ALT / TALKの3つのボタンはさらにDIM/MONO SUM//INVERT PHASE LEFTに役割を変更することが可能なのでユーザーがよく使う機能3つを本体ハードウェアボタンにアサインしておくことができます。

さらにLoopback機能も搭載しておりソフトウェアミキサーからLoopbackソースを選択することができます。

そしてソフトウェアミキサーでのルーティングを必要としない場合、I/Oモードのボタンをクリックすればそれだけでアナログ4in/アナログ4outのオーディオインターフェースとして機能します。

通常SSL12の出力は96kHz(もしくは88.2Khz)にダウンサンプリングされます。これはソフトウェアミキサーの能力を維持するためです。通常音楽制作のモニタリングに大きな支障はでないと考えられますが高価なオーディオシステムを組んだオーディオルームなどでハイレゾ音源を聴くなど、より精細なモニタリングを求められた場合、I/OモードをOnにすることでSSL12の出力は192kHz(もしくは176.4kHz)でのオペレートが可能になります。

 

 

SSL12のすべてのライン出力(1、2、3、4、ヘッドフォン A、ヘッドフォン B)はDCカップリングされているためDC信号を送信することが可能です。これにより、CV 対応の機器はその信号を受信し、パラメータを制御することができます。

+/-5V 信号を送信 して、 CV対応のモジュラーシンセ、Eurorack、CV 対応アウトボードを CV コントロールすることが可能です。

Ableton社より供給されている CV Tools を使うことでシームレスなコントロールを可能にします。

<SSL2/SSL2+/SSL12>

SSL2SSL2+はラップトップ環境やモバイル環境などシンプルな音楽制作環境にSSLクオリティのサウンドを実現する製品です。

2in/2outのSSL2はシンプルな仕様ですが

SSL2+は2系統のヘッドホン出力、MIDI I/O , 4系統の出力(TRSフォーンステレオ+RCAステレオ)など大幅に拡張されているのでシンセサイザーやDJセットとの連携したシステムにも対応できます。

 

そしてSSL12はより大きく、シビアでプロフェッショナルなシステムにも対応することも可能にしています。

スピーカー・ヘッドホン2系統/トークバック/アナログ4入力+ADAT入力/ソフトウェアミキサーでの柔軟なルーティングなどSSL2やSSL2+にはなかった機能を多数搭載しています。

そしてなにより32bit/192Khz AD/DAコンバータの搭載とそれに合わせたアナログ信号部のブラッシュアップはレコーディングの音質だけではなくモニタリングの精度を飛躍的に向上させ、シビアな環境でも対応することができるプロフェッショナルなスタジオでのハブとしての役割をも満たせるツールとなりました。

 

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