「KORG phase8」アコースティック・シンセサイザーの基礎的な使い方と外部からのアプローチ

2026年3月18日にIkebe Channelにて配信された「【KORG】物理世界×電子制御の融合 アコースティック・シンセサイザー「KORG phase8」|IKEBE LIVE SHOPPING # 204【鍵盤堂】」から基礎的な使い方を一部文字起こししてご紹介致します。

配信アーカイブはこちら

■3つのおすすめポイント

おすすめポイントその1

・これまでに無い斬新な発想。phase8とは

普通は楽器の魅力をおすすめポイントでご紹介しますが、この「phase8」はこれまでに無い発想で作られている事から新しい楽器、シンセをお探しの方には存在そのものがオススメといえます。

■どんな楽器なのか

「phase8」はアコースティックシンセサイザーと言われていますが、ピンと来ない方もいるかと思います。

一言で言ってしまえば「電子的なオシレーターの入っていないシンセ」です。代わりに金属+ピックアップの共振体を電子制御または外部からのアプローチで発音させて音を出力する非常にユニークな構造を持っています。

直接発音体に触れる事ができる為、この世にある様々な物を用いてアプローチする事が出来ます。

これだけだとカリンバみたいな物に見えますが、電子回路と電子制御が加わる事で全く新しい扉が開いていく物となります。

配信冒頭では電動ドリルを使いましたが、葉っぱや石などのオーガニックな素材で触れる事も出来る為、人によってアプローチが四次元的に異なってくる可能性の権化とも言える楽器となっています。

■各部紹介・基本的な使い方

本体の構成と合わせて基本的な使い方をご紹介します。

中央上部が発音、共振するある種のオシレーターのようなセクションです。

「resonators」と呼ばれるスチール製のリードとその下側には「driver」と呼ばれるコイルの磁力で「resonators」を振動させてピックアップで音を拾うという構造になっています。

このdriverを電子制御して機械的な精度、タイミングでリードを発音させる事が出来るようになっている訳ですね。

この右上の金色のサークル部は「pluck」と呼ばれる箇所で「resonators」のトリガー情報をシーケンサーに記録する為の起動スイッチとなっています。

ここを触ると「pluck」が起動し、押しっぱなしにしながら「resonators」を触るとトリガー情報を記録していけます。

パネルの左側に行ってみましょう。

パネル左側のレバーが「AIR」と呼ばれる物で、生のピックアップ信号を出力に追加するという物です。

上げていってみると何もしなくても音を拾い始め、レゾネーターを触るとこのように発音して音が広がっていきます。

その隣の「SHIFT」は遅延トリガーを追加するという物で、いわゆるハネのような効果が得られます。

オレンジのツマミ「TEMPO」はシーケンサーのテンポですね。

パネル左下へ移りましょう

切り替えスイッチ状のレバー「MOD TYPE」は3つの変調タイプを切り替えます。レバー左で「トレモロ」、中央は「ビブラートAM /ピッチエンベロープAM 」、レバー右は「ポリフォニックAM」となっています。

その隣にある「DEPTH」は選択したMOD TYPEの強さの調節で、その下の「RATE」は速さや周波数をコントロールする物です。

「QUANTIZE」は記録されたシーケンスデータを各共鳴器毎にトリガーを最も近い16分音符に合わせてタイミングを調整、クオンタイズします。

MOD TYPE「ポリフォニックAM」を選んでいる時はQUANTIZEボタンを押しながらRATEツマミでピッチの変調にも使えますね。

「MUTE」はボタンを押しながら8つのキーを操作する事で、各レゾネーターのシーケンスを一次的にミュート/ミュート解除が出来ます。

MUTEボタンを押すとRESONATORSの下のLEDが点灯/消灯しているのでMUTEの状態が一目で見られるようになっています。CLEARを押しながらMUTEで全ミュート解除が出来ます。

下側のレバーはシーケンサーモードの切り替えです。

「STEP」名前の通りステップレコーディングです。

隣に並ぶ8つのキーが8ステップのシーケンサーになります。

SELECTボタンとキーで打ち込みたいRESONATORを選び、一つのRESONATOR毎に発音位置を打ち込みます。

隣の「A/B」スイッチは異なるパターンをバリエーションとして記録して切り替えられます。

上部のLOADとSELECTを同時押しでSAVEになりますが、このSAVEボタンを押しながらAからBに切り替えるとAの内容をそのままコピーして編集する事も出来ます。

さて左側のシーケンスモードのレバーに戻り今度はLIVEを選びましょう。

ここではキーを押すとそのまま発音するようになり、リアルタイムにシーケンスを記録できるようになります。

バラついた場合はクオンタイズをかければ16分音符で一番近い所にクオンタイズされます。

SKIPはResonator毎の個々のステップをスキップさせる事が出来ます。

設定を変えてシーケンス長スキップモードを有効化すると複数の拍子が同時進行するいわゆるポリリズムのアプローチもできます。

キースイッチの上に並ぶENVELOPEとVELOCITYは打ち込まれた音またはキースイッチを押して発音した際のベロシティとエンベロープを調整します。

エンベロープはツマミを回す位置により25%ずつ5段階で変化していきます。


0%(最も左):最速アタック、早いディケイ、サスティン無し

25%:最速アタック、ディケイはやや遅め、サスティン無し

50%:最速アタック、サスティンあり、最速リリース

75%:アタックが遅く、サスティンが続き、リリースもゆるやか

100%(最大右回し):最もゆっくりとしたアタック、サスティン、最も長いリリース


■「phase8」開発の経緯

何故このようなシンセが製作されるに至ったのか、開発元のドイツはKorg Berlinよりコメントをいただいていますので、抜粋してご紹介致します。

【開発の経緯】 

実験的なプロダクトの開発をミッションに設立された研究・開発拠点コルグ・ベルリンにて、volcaやminilogueを手掛けた後コルグを一度退職していた高橋達也氏が開発をリード。 

多くの実験を経て、高橋氏は「純粋な電子シンセサイザーは自分としてはもうやり尽くしたのではないか」という思いに至りますが、純粋なアコースティック楽器へ回帰するのも違うと感じ、「電子とアコースティックの融合」を掲げ、「phase0」の試作を開始。 

物理的で触覚的、そしてアコースティックな音響生成の世界と、精密な電子制御を融合させることで、本当に“生きている”と感じられるようなシンセサイザーを作りたい、それが phase8 の出発点でした。 

アカデミックな分野やデザインなど様々なバックグランドを持つメンバー達が新たに入社。地道な探究を経て、名前の通り実際に「8つのフェーズ」を経て、ようやく世に送り出せる楽器へとたどり着きました。 

目指したものは物理的な手触りに応えるシンセサイザー。 

伝統的なアコースティック楽器に興味を持つ人が、シーケンスや MIDI などを通じてシンセの世界へ入る入口にもなるかと思いますし、また、その逆(シンセユーザーがアコースティック楽器にのめり込むきっかけになる)もあるかと思います。 

おすすめポイントその2 物理的なアプローチによる無限の可能性

冒頭のデモと先ほどの各部紹介でもご覧いただいた通り、アコースティックな共鳴体とピックアップ、電子制御の組み合わせで自由度の高いアプローチが可能になっていますが、実際に様々な素材を置くなどして発音のアプローチを実験してみましょう。

実際の様子は配信アーカイブをご覧ください

・ペン

・歯ブラシ

・缶ケース

・紙等軽い素材

・クリップ

・小銭

・ドリル

・スマートフォン

能動的に振動を与えずにシーケンサーやキースイッチを使った発音を行う場合「phase8」は磁力で電子制御して発音させている事もあり、載せる物の重さや形状も影響してきます。

激しい変化を求める場合は直接触れてアプローチした方が良いでしょう。

ただし、今回ご紹介した方法はアイディアとして行っている為、推奨している発音方法ではございませんのでこの点ご注意ください。

おすすめポイントその3 外部機器との接続で広がる多様性 

背面パネルにはSYNCやMIDI、CV IN、USB-MIDIにも対応している為、外部機器との同期、MIDIやUSBでPC等と接続した際にはMIDIキーボードや音源としても使用可能です。 

MIDIノートの設定方法やMIDIチャンネル、ローカルオフ等、各種設定で変更可能なパラメーターも持っていますので、DAWや外部ハードウェアと組み合わせる際には用途や環境に応じて調節してみてくださいね。 

シンセサイザーとしては空間系エフェクト等を持っておりませんので、外部エフェクターと組み合わせる事で非常に奥深い音作りが出来る事でしょう。

■付属の交換用レゾネーターについて

本体付属品の中に交換用レゾネーターが5枚入っていますが、本体に最初から付いている物とは音程が異なります。予備パーツ用ではないのでご注意ください。交換してチューニングすればレゾネーターのスケールを調整する事も可能です。

WEBサイトでの予約販売開始は3月27日18時を予定しております。発売は4月26日を予定しておりますが、初回のご用意数は非常に限られておりますので、ご予約ご注文の方から順に入荷次第ご用意させていただく事となります。場合により長期お待ちいただく可能性がございますので、予めご了承ください。

商品ページ:KORG phase8