「SONICWARE」図鑑 ELZ_1 play V2
日本のブランド「SONICWARE」社の製品は独自の視点からハードウェアで音楽にフォーカスする極めて人間的な体験と価値を生み出しています。「便利過ぎない制約こそがクリエイティブな魂を呼び覚ます」(意訳)という同社の思想が反映された製品ラインナップを全機種展示を行う渋谷・鍵盤堂よりご紹介していきます!
第1弾はこちら
■ ELZ_1 play V2 ポータブル・シンセサイザー+ルーパー

最初から一番の大物「ELZ_1 play V2」のご紹介です。
2019年頃に発売された初代「ELZ_1」は8bitやFM、グラニュラー等、11種のシンセエンジンを持つ独創的な設計でアーティスト、クリエエイターから高い評価を集めました。
初代モデルは2020年頃にコロナ禍のパーツ供給の問題により生産完了となりましたが、2023年頃、プレオーダー形式に参加した海外と国内の一部の方にだけ流通した「ELZ_1 play」が後継モデルとして販売されました。そして今回2025年に「ELZ_1 play V2」へのアップグレードを期に国内でも正式に発売される事となったのです。
ハードウェアとしては初代から「play」へのモデルチェンジに際し、高音質・大音量のステレオスピーカー、SDカードスロット、USB-C、標準MIDI端子を搭載、さらに鍵盤は全鍵ベロシティ対応、ルーパー機能、MIDIコントロールチェンジへの対応等、初代であった要望を盛り込み大幅にパワーアップしています。
そして「V2」になり、実に18種類ものシンセエンジン&4トラックルーパー+シングルシーケンサーを搭載し、デジタルシンセの可能性をさらに広め、深めた設計となっています。
■ウェーブテーブル音源には「Waldorf」社のPPG、microwaveの波形も収録!
ウェーブテーブル音源にはなんとドイツの伝統的ブランド「Waldorf」社のPPGとmicowaveの波形も搭載されています!これらの波形は二次創作的な物ではなく、Waldorf社の公式ライセンスの下、PPG Waveとmicorwaveのオリジナルの波形から収録された物となっています。伝説のサウンドを音作りの一部として取り込む事が出来る贅沢!



そしてもちろんWaveTable音源はWaldorf社の波形だけでなく「ELZ_1 play」オリジナルの波形も収録されています。PPG 8種、micorwave 8種、オリジナル波形24種を組み合わせ32種まで読み込む事が可能です。

※WaveTable音源とは?
デジタル波形を幾つも並べて、時間軸で読み込む波形が変わる等複雑な変化が可能。アナログシンセには出来ないデジタルならではの音源方式。(長くなるので詳しくは別途お調べください) 1980年代のPPG Waveを起源として90年代以降はWaldorf社製のmicrowaveシリーズ等で広く使用され、今日に至るまで幅広い製品で用いたれています。
・オリジナルのWaveTable波形を取り込む
「ELZ_1 play V2」ではさらにWaveTabel波形を作成する事が可能なソフトシンセ「Xfer Records Serum」で作成したファイルを読み込み、ユーザー独自の波形を取り込む事も可能になっており、オリジナリティをとことん追求する方に嬉しい設計となっています。

・音源は3つの波形まで重ねられる(レイヤー)
今回の進化の特徴としてWaveTable音源をご紹介しましたが、V2は全18種の音源方式を持っており、3オシレーターとして3つの波形までレイヤーする事が出来るようになっています。レイヤーする事で厚みを出すだけでなく、様々な方式の組み合わせにより複雑な音作りを行っていく事が出来るのが本機の魅力の一つともなっています。
このように「ELZ_1」は元々「音作り(シンセサイズ)」に重きを置いたポータブルシンセの為、この音源部を改めてご紹介致します。
※音源方式の横に書いてあるのは同時発音数。
・ZTRINGS:6 ボイス
物理モデル・ストリングス・エンジン

撥弦楽器をイメージした物理モデリングシンセエンジン。4 色のプリセットノイズ以外にも、カード内のユーザーデータを参照してオリジナルのストリングス音源を配合できます。
※ユーザーデータから読み込めるノイズ波形はWAV ファイル 形式(16Bit、48kHz、モノラル)。PC/MACと接続してUSB MASS STORAGE MODEで読み込みます。
チェンバロのような音色から竪琴のような音色まで弦のモデリング音色をカスタマイズしていける音源。パラメーターの使い方次第でシンセ寄りのサウンドにしていく事も可能。
・SUPER OSC:6 ボイス
5 つのデチューン可能なサブ・オシレーターを備えた“スーパー”シンセ・エンジン

上下 1オクターブにそれぞれ 5基のデチューン可能なサブオシレーターとノイズ出力を備えたシンセエンジン。簡単なオルガンサウンドから分厚いシンセリードまで自由自在。
Sin、Square、Triangle、U.Saw、D.Sawの5つの波形から選択して、上下1オクターブのそれぞれのデチューン具合、音量をコントロール。さらにノイズも混ぜてアナログモデリングシンセライクな音作りが可能。
・LOW-BIT OSC:15 ボイス
2 ビット〜 8 ビット可変のロービット・オシレーター

いわゆるファ●コン的な8bitコンピューターゲーム音源をイメージしたような音源。ビット数は2bit,4bit,8bitから選択。波形はこちらもSine、Square、Triangle、U.Saw、D.Sawの5種から選択可能だが、DUTYというパラメーターにより波形の前半を狭めたり伸ばしたり出来る為、音作りの自由度が高まっている印象。
・STANDARD OSC:15 ボイス
32-bit フローティング・ポイント処理による高解像度オシレーター

上記のLow-Bit OSCからBit数の設定を抜いたようなシンプルなオシレーター。同様にDUTYのパラメーターを持つ。
・CUSTOM OSC:15 ボイス
2 種類の波形と周期を選択可能

STANDARD OSCにOSC1(前半波形)とOSC2(後半波形)とPERIOD(波形の切り替えタイミング)の設定が加わり、2つの波形を前後で組み合わせて音作りが行える。
・DNA EXPLORER:12 ボイス
オーディオから波形 DNA を抽出 / 生成

ELZ_1 play に保存されているオーディオデータから波形を抽出・生成するシンセエンジン。読み込んだ波形の位置や抽出具合等のパラメーターを変えていき、素材となるWaveDataから使用するポイントを探っていき発音させる音源。WaveDataは5秒間のデータを3つまで読み込み可能。AUX INで録音するか、PCから波形を読み込むかどちらかで素材を取り入れる。
・WAVEDATA1〜3にインポート可能な波形データは WAVファイル形式(16Bit、48kHz、モノラル)
・5秒以上の WAV ファイルの場合、先頭から 5 秒分がインポートされる。
・SiGRINDER:6 ボイス
グラニュラー・シンセシス・エンジン 最大 3 つのサンプル(各最大 5 秒)を録音 / 保存可能。16bit – 48kHz WAV ファイルのインポート / エクスポート対応

WaveData1~3はDNA EXPLORERと共用。波形の開始、終了位置から解像度、抽出加減、1オクターブ上の音のMIX加減、Bit Crash等のパラメーターを駆使して音作りを行う。DNA EXPLORERと近い性質だが、TIME(生成波形の長さ)等もコントロールするパラメーターを持ちより高負荷でボイス数が少ない。
※グラニュラーシンセとは?
サンプル波形を極めて細かい粒に分解して、音程やタイミング、順番等を再構築する事で新たな音を生み出す音源方式。
・MASKED NOISE:15 ボイス
ノイズ・オシレーター

基本的な波形の中にノイズを閉じ込めたノイズ系のシンセエンジン。White、Pink、Brown、Purpleのノイズのプリセットから選びSine、Square、Triangle、U.Saw、D.Sawの5種のいずれかの波形に対しノイズを文字通り被せる音源。
・SAND FLUTE:10 ボイス
ノイズからトーンを抽出 / 生成

砂漠の風をイメージしたシンセエンジン。ノイズをWhite、Pink、Brown、Purple、Resoから、フィルターの種類をOff、BPF、PEQ、Notchから選択して5バンドのレベル調整でノイズをシンセ的な音作りを行う音源。ノイズの種類をResoにした時は周波数も調整出来るようになる。
・FM SYNTH:6 ボイス
4 オペレーター – 31アルゴリズム、32-bit フローティング・ポイント処理

4 オペレーター・31アルゴリズムの高品位な FM 音源。各オペレーターにはフィードバックとデチューンを搭載。ランダムにFM音源パラメーターを生成する「GACHA」のパラメーターが特徴的。
・8BIT WAVE MEMORY SYNTH:20 ボイス
オリジナル波形をエディット可能

8Bit の波形メモリシンセエンジン。Sine 波などのプリセットされた波形以外にも、任意の波形を作ることができます。
これは画像をよくよく見ると波形がドットになっている事がお分かりいただけるかと思います。横軸のドット単位で波形を動かす位置を移動し、1列ずつ上げる、下げる等して、特殊な波形に作り変えていく事が出来ます。

・8BIT WAVE MEMORY SYNTH(MORPH):20 ボイス
3 つの波形をモーフィング

8Bit の波形メモリシンセのモーフィングモード。WAVE1 → WAVE2 → WAVE3 と波形がモーフィングする。TIMEのパラメーターで時間軸での変化のスピードをコントロール出来る、
・8BIT WAVE MEMORY SYNTH(FM MODE):15 ボイス
2 オペレーターの 8 ビット FM モード

8Bit の波形メモリシンセの FM 音源ライクなモード。1~20のFMバンク波形と現在のMEMORYに保存されている編集可能な波形から選び、MEMORY波形ではサイン派のような波形からFM波形に変化させていく事も出来る。
・8BIT WAVE MEMORY SYNTH(WARP):15 ボイス
2 つの波形をクロスフェードして中間波形を生成

8Bit の波形メモリシンセのワープモード。WAVE1と WAVE2 の波形をクロスフェードし中間波形を生成します。本体に保存されているMEMORY 1、2波形、ELZ_1 play内の共有バンク波形1~50、同FMバンク波形1~20で選択し組み合わせて中間波形を生成していく事になります。DETUNEで味付け可能。
・8BIT WAVE MEMORY SYNTH(ADSAR):20 ボイス
エンベロープに応じて波形が変化

8Bit の波形メモリシンセの ADSARモード。エンベロープに合わせて波形が切り替わります。エンベローブページの設定で個性的な音作りが出来る印象。
・8BIT WAVE MEMORY SYNTH(TIME):20 ボイス
3 つの波形が順番に変化

8Bit の波形メモリシンセのタイムモード。WAVE1 → WAVE2 → WAVE3 と任意の時間で波形を切り替え発音します。これもエンベローブの設定と波形が変化するTIMEの設定で面白い音作りが出来る、可能性を感じる音源。
・STK DRUMMER:15 ボイス
5 種類のドラム・キットを備えたドラムマシン・エンジン
SmplTrek の .stk ファイルに対応
サウンド・メモリー:512(128 × 4 バンク)- 256 プリセット収録

サンプル毎にパラメータをエディットしてオリジナルドラムマシンを作れます。
SmplTrekをお持ちの方は作成した STK 形式ファイルをカード経由で ELZ_1 playで使用するこ
とができます。
内蔵されているドラムキットはインド映画系をイメージしたと思われるパーカッション系の「CineIndianPercKit」、ラテン系ダンスミュージック”レゲトン”のキット「ReggaetonKit」、シンプルな「Rock Kit」、909系+アルファの「TechnoKit」、ゲーム●ーイ的なレトロゲームキット「GB DrumKit」の5種。いい感じで尖ったチョイスが好感触。
今回は心臓部となる音源の紹介だけで膨大になってしまいましたが、これに加え48種のエフェクト、128ステップのシーケンサーと4トラックのオーディオルーパーを駆使する事で、音作り、打ち込み、録音を繰り返し、攻め込んだトラックを生み出し、リアルタイムなパフォーマンスや楽曲製作に活かす事が出来る事でしょう。
今の御時世10万円を切る価格でこれだけの質の高さとシンセ機能が盛り込まれたポータブルシンセは貴重な存在。電池でも動かせる為、出先やライブでも重宝する事間違い無し。使い方に馴染むといつの間にか没頭してしまう事請け合いの超おもしろシンセ!おすすめです!!
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(発売記念・台数限定専用ソフトケース付) ELZ_1 play V2

(発売記念・台数限定専用ソフトケース付) ELZ_1 play V2 (Limited All Black Edition)

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(発売記念・台数限定専用ソフトケース&ミニキーボードスタンドセット) ELZ_1 play V2

(発売記念・台数限定専用ソフトケース&ミニキーボードスタンドセット) ELZ_1 play V2 (Limited All Black Edition)

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