今此処に、オーバーハイムを弾いている自分がいる!

伝説のオーバーハイム・ポリシンセが帰ってきました!

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ちょっと興奮気味で、勢いに任せて書いています。長くなりますがご容赦ください・・・。

1970年代後半~1980年代前半。YAMAHA DX7の登場により、音楽シーンがデジタルサウンド一色に染まる直前、絶え間ない進化により完全に成熟したアナログポリシンセの恐竜達がヒットチャートを彩っていた時代。

純粋な電圧制御のアナログ回路にデジタル回路の制御系を取り入れることで、完全な音色メモリーを実現し、ステージ上で複雑なパッチを瞬時に切り替える・・・今では当たり前のことが、ようやく実現した頃の話です。
百花繚乱、群雄割拠のシーンの中で一際輝いていた存在といえば、SEQUENTIAL社のProphet-5とOberheim社のOBシリーズであることに異論を唱える方は少ないでしょう(ええ、もちろんMemorymoogやJupiter-8の存在は忘れていませんよ)。

モジュラーシンセの様に複雑に、相互に影響を与えあうポリ・モジュレーションに代表される複雑なサウンドメイキングの可能性により、キーボードプレイヤーは勿論テクノ・ニューウェーブ等の尖ったジャンルのクリエイターまで広く愛されたProphet-5。

一方、シンプルなレイアウトが生む扱い易さと、オケに馴染む派手なサウンドで、JazzからRockをはじめとする、伝統的なバンド形式のステージで様々な名手達に愛されてきたOBシリーズ・ポリシンセ。
現在のデジタルシンセにプリセットされている、シンセパッドやシンセブラス等の多くがOBシリーズ由来のものであり、若い世代のプレイヤーの方にとっても実は馴染み深いサウンドが多いかもしれません。

そんな80年代を象徴するアナログポリシンセの二大巨頭が、30年の時を経て今再び相見えます。

かつてのライバルは今やかけがえの無い友人。

Prophet-5(そしてProphet-6)の生みの親デイブ・スミス氏とトム・オーバーハイム氏が強力なタッグを組み、”OB”の名を冠するシンセサイザーが遂に完成、鍵盤堂にその姿を現しました!

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(長いイントロですね・・・)

基本的なアーキテクチャーはProphet-6と共用しており、トム・オーバーハイム氏が設計した、OBシリーズの源流となるSEM(Synthesizer Expander Module)をベースとした特徴的な音源回路を搭載した、という成り立ちから、てっきり筐体は共用しているものだと思い込んでいましたが、改めて見比べてみると・・・!

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Prophet-6はProphet-5と同様に、エッジの立った木材を使用し、サイドパネルだけでなく鍵盤手前側まで木材パネルが配置されています。ここにアルミ製の”Sequential”エンブレムが輝くことで、大幅にシンプル&コンパクトになったにも関わらずちゃんとPropher-5のニュアンスを受け継いでいますね。

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(左:Prophet-6/右:OB-6)

対するOB-6。オリジナルOBシリーズ(OB-X、OB-Xa、OB-8)と同様の、エッジが丸められた薄めのウッドパネルがサイド部のみに取り付けられています。たったこれだけの違いでProphet-6との違いは歴然。
こちらもオリジナルよりはずっと小さいですが、パネル上の青いストライプやフォント、7セグメントのLEDディスプレイ、そしてボタンや丸みを帯びたノブの感触に至るまで、マニアックな再現っぷりに心底嬉しくなります。

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この拘りっぷり、コラボならではのハンパない盛り上がりっぷりでございます!!!
この二人のレジェンド、本気で楽しんでます(笑)。

外装のデザインだけでご飯三杯は軽くイケる状態ですから、その出音に関しては悪かろうはずがありません。
ズバリ、期待以上のオーバーハイムサウンドっぷりです。

パネルレイアウトは程よくシンプル、全てのパラメーターが表面に出ていますが、実によく整理されていて明快です。
シンセをお求め頂くレベルの方であれば、基本的な操作はマニュアル要らず、ツマミの位置を見ただけでおよそのサウンドが想像できるのではないでしょうか。

更に、オリジナルのOBシリーズが大幅に簡略化されたコントロールとなっていたのに対し、OB-6はSEMに準じた構成のままポリフォニック化しているため、むしろ一世代前のSEMをボイス数分並べた怪物シンセ「4Voice」「8Voice」に近いポテンシャルを持っています。
入手、運搬、設置、音作り、演奏、そして維持・・・全てにおいて大変な(試しに「Oberheim 8Voice」で画像検索してみてください)ポリフォニックSEMのサウンドをこれだけ手軽に扱えるというだけでも、OB-6はその投資額に見合う価値あるシンセと言えるでしょう。

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アナログポリシンセと聞いて誰もがイメージする「プワッ」とか「ファーッ」とか「ジュワーッ」とか「ブバーッ!」とか(笑)

・・・そんな押しの強いサウンドは勿論、SEM譲りのステイト・バリアブル・フィルターにより出音の帯域を直感的にコントロールし、他のパートの邪魔をしない「繊細な大人のポリシンセ」に変身することも容易です。

更に、モジュレーションセクションの充実も嬉しいところ。
ベロシティやホイールは勿論、アフタータッチをコントロールソースとした時のリニアな反応は最高に気持ち良く、積極的に活用したくなるポイントです(Prophet-T8など、アフタータッチを備えたヴィンテージシンセも存在しますが、最早ちゃんと反応してくれないんですよね・・・)。

エフェクトセクションやステップシーケンサーやアルペジエイター等の付加機能も抜かりなく、オーバーハイム氏設計のMaestroをイメージしたモジュレーションエフェクトもポリシンセとの相性は抜群です。

とにかく、その全てが音楽的。

小気味良いクリック感のボタンを押して、オリジナルよりも質感の高いノブをひねる程に滲んでいくサウンドの美しさ。

膨大なメモリーエリアから瞬時に音色を切り替えるのも勿論便利ですが、まずは是非マニュアルモードで、一つ一つのパラメーターが生む変化を味わって頂きたいところ。
一度オケの中でコードを弾いたなら、瞬時に80’sにタイムスリップ。「ああ、今俺オーバーハイムを弾いてる!」的感動に包まれること請け合いです。

6ボイスというボイス数も、ルート+トライアドにテンションを足して、勢い余って左手をオクターブで弾いちゃう段階までカバーできますから、通常の演奏で困ることは無いでしょう。
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Moogしかり、Prophetしかり、Oberheimしかり。
アナログ回路には、設計者の個性がそのまま音のキャラクターに反映されます。
トム・オーバーハイム氏に直接話を伺った限りでは、OB-6の音源は「SEMをベースに、新たにデザインした」新設計との事ですが、やはりそのサウンドは現代的な扱いやすさを持ちながらも、正真正銘のOBサウンド。

ルックス、サウンド共に徹底して「レトロスペクティブ」に拘ったシンセサイザーではありますが、もちろんそれだけで終わらない懐の深さが随所に仕込まれています。
ステージの上でガンガン演奏する一方で、自宅でじっくり時間を掛けて、二人のシンセ・デザイナーの現在進行形の思考に触れる楽しさ。

往時を知る方もそうでない方も、オーバーハイムの新たなるサウンドが生まれる瞬間に、是非立ち会ってみてください!

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