サウンドの識別不能!?入手困難な伝説のNEUMANN M 49を忠実に復刻した真空管コンデンサーマイク「M 49 V」

2022年11月、Inter BEEに合わせるようにしてNEUMANNからM 49 Vというマイクが発表されました。販売価格は100万円超、受注オーダーで納期は半年以上と、ただならぬ製品だと感じた人も少なくないでしょう。それもそのはず、M 49 Vは過去にあったM 49というマイクの復刻製品であり、簡単には手に入らなくなったM 49を忠実に再現した、NEUMANNファン垂涎の逸品なのです。この記事ではM 49 VとNEUMANNの歴史について紹介しています。

 

※M 49 Vは、マイク単体の「M 49 V」と、コントロールユニット「NM V」と「M 49 V」がセットになった「M 49 V set」があります。通常は「M 49 V set」をご購入ください。また、納期が約半年となっておりますので、ご注意ください。

NEUMANNとM 49の歴史

世界の定番コンデンサーマイクU 87 Aiで有名なマイクブランドNEUMANN(ノイマン)は1928年にドイツ・ベルリンでGeorg NeumannとErich Rickmannによって創業されました。同年にはCMV 3というコンデンサーマイクが発売され、その後1949年には今日でもビンテージマイクとして名高いU 47が発売されました。U 47は単一指向性と無指向性を切り替えることができる画期的なマイクでした。

1951年になると、M 49 VのオリジナルであるM 49コンデンサーマイクが発売されます。Nordwestdeutscher Rundfunk(南西ドイツ放送交響楽団)の協力のもと、従来のレファレンスマイクに取って代わる新たなリファレンスマイクとして開発されたM 49最大の特徴は、遠隔での指向性切り替えを搭載していたことです。

当時のマイクはすべて真空管で増幅するマイクであったため、専用の電源が必要でした。M 49は指向性切り替え操作を電源ユニットから行うことができたのです。電源側で指向性を連続的に切り替えることが可能で、無指向性、単一指向性、双指向性、その中間と、録音ソースにあわせた設定を、遠隔で調整することができました。現在では当たり前の機能ですが当時は画期的で、世界で初めてNEUMANNが遠隔指向性切り替えを実現しました。なお、北ドイツ放送局中央研究所の技術者が同じものを開発しましたが、NEUMANNが特許を取得し、他社はNEUMANNのライセンスを受けて製造することになりました。

<当時のカタログに掲載された電源ユニットNN 48b>

 

その後1960年代には真空管に代わってトランジスタという部品が世界を席巻し、真空管を置き換えるようになってきます。トランジスタの発展型である電界効果トランジスタ(FET)が開発されると、コンデンサーマイクの増幅回路も真空管からFETに変化。1965年にKTMというマイクが発売されました。この時、KTMに電源を供給する方法としてNEUMANNが開発したのがファンタム電源。御存知の通り今日のコンデンサーマイクの標準的な電源供給方式として、メーカーを問わず使用されています。

このように、NEUMANNは常に革新的な機能を開発してきたマイクのリーディングカンパニー。M 49 Vは、NEUMANNの中にあってひときわ伝説と称されるビンテージマイクM 49を忠実に復刻したモデルなのです。なお、オリジナルM 49の生産は1971年で完了しており、状態の良いM 49の入手は極めて困難です。

<状態の良いM 49の入手は困難>

 

M 49の中でも人気かつ高性能なM 49 cを踏襲したM 49 V

M 49は何度も改良されたマイクです。真空管や回路変更によりSN比やダイナミックレンジ、耐干渉性の向上などを実現し、一方では放送業界向けにRF(Radio Freaquency=高周波)干渉対策コネクタを搭載したM 249もリリースされていました。M 49 Vは最終バージョンとなったM 49 cの復刻版です。

M 49 cは真空管の動作を「固定バイアス」から「自己バイアス」方式に変更することでノイズを軽減したバージョンで、M 49の中で最も高い人気を誇ります。旧バージョンのM 49も、多くの個体がM 49 cと同じ回路に改造されたと言われています。

<M 49 V生産の様子>

 

M 49 VはM 49 b及びM 49 cと同じ30Hzから下をカットするハイパスフィルターを搭載しています。カットオフ周波数はカスタマーサポート対応により12Hzに変更可能で、これは1957年まで製造されたハイパスフィルター未搭載の初期型M 49と同じ設定です。

さらにM 49 bを踏襲するため、指向性切り替え無効化スイッチを内部に用意しています。このスイッチは指向性切替機能を無効化するだけでなく、感度を約2dB上げ、等価雑音を約3dB下げることができます。スイッチの変更はカスタマーサポート対応となりますが、M 49 Vの用途がボーカルやスピーチのみの場合はオンにすると便利です。

その他M 49 VではM 49 c同様の回路を用いたうえで、低ノイズなサブミニチュア真空管を搭載。また、携帯電話やWi-Fiで生じる高周波干渉が当時と比較して増大したことを踏まえ、M 249のRF干渉対策コネクターも採用しました。カプセルは当時と同じくK 49カプセルを搭載し、M 49 cのサウンドを継承しています。

<K 49カプセル>

 

M 49 Vの電源「NM V」は、オリジナルのM 49にも使用可能ですが、新しいサブミニチュア真空管に従来よりも高いヒータ電圧が必要だったため、新規に設計されました。オリジナルM 49に使用した場合は自動的にヒーター電圧を調整するようになっています。電源部はサウンドを重視したリニア電源でありながら、100-120V/220-240Vの電源電圧に自動的に適応するようになっています。

<NM Vもハンドメイド生産されている>

 

スペックまでM 49を忠実に再現したM 49 V

 

ここまでで紹介した通り、M 49 Vは最も高性能であることを目指しているマイクではなく、伝説的なM 49 Vを忠実に再現することをコンセプトとしたマイクです。したがって、真空管マイクということもあり、スペック的には近年のトランスレスモデルが多くの点で上回ります。しかし、スペックに表れない「M 49サウンド」を求めたマイクがM 49 Vなのです。スペックではなく、同じサウンドを求めた結果、M 49 Vのスペックはいくつかの点でオリジナルM 49と同一という結果を示しています。

例えば周波数特性は40Hz〜16kHzであり、M 49とM 49 Vで同一です。最大耐入力も2機種で同一の125dB SPLとされています。当時は現代ほど細かなスペック表示が行われていなかったのですが、M 49 Vは現代にあわせ様々なスペックが計測され、開示されています。2機種のサウンドを比較すると、オリジナルM 49の開示されていなかったスペックを知りたければ、M 49 Vのスペックを見ればよいのだと思わされてしまいます。

参考資料として、M 49 Vの指向性ごとの特性を紹介しておきます。M 49 Vは新品が購入できますから、この特性が保証されていることだけでも購入する価値があると言えそうです。

<M 49 Vの周波数特性とポーラーパターン>

 

このように、誰もが憧れる伝説のマイクM 49を忠実に復刻させたモデルがM 49 Vなのです。そのサウンドは熟練エンジニアが聞いてもオリジナルM 49 Vと区別することが困難とも言われており、よくある量産品の復刻モデルとは一線を画していることは本記事でおわかりいただけたと思います。簡単に購入できるものではないと思いますが、いつかは音だけでも聞いてみたいマイクですね。

<入手したなら羨望の対象となること間違いなし>


「1950年代から60年代にかけて活躍した伝説の真空管マイクロホン」

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