レコーディングエンジニア古賀健一さんがリニューアルしたPOWER RECを訪問!前編
渋谷にあるレコーディング機器の殿堂POWER RECがリニューアル。
伴って、マイクに留まらずモニター機器をも積極的にリリースする老舗ブランド、NEUMANNの展示が拡充されました。
イマーシブ・オーディオを扱うエンジニアとして著名な古賀健一氏が遊びに来てくれましたので、その様子を紹介致します!
充実したNEUMANNスピーカー展示スペースにて、 KHシリーズを体験。
前編では全体の様子と、部屋に合わせた補正ができるということで人気のNEUMANN KH 80 DSPを中心としたNEUMANNスピーカー群をチェックしている様子をお伝えします。
古賀健一さん プロフィール
1983年12月7日生 福岡県出身。東京スクールオブミュージック葛西校時代から、フリーのエンジニアとして活動。プロのレコーディングにも多数参加。青葉台スタジオを経てフリーランスとなり、2019年 Xylomania Stuio LLCを設立。2020年 Dolby Atmos&360 Reality Audioの空間オーディオ対応スタジオに改修。RockからClassic、バンドのサウンドプロデュースまで手がける。ASIAN KUNG-FU GENERATION、ichikoro、KentaDedachi、Official髭男dism、映画音楽など多数。
古賀健一さんに、新しくなったPOWER RECをご案内しました。
古賀さん(以下敬称略):
店内が明るくなった感じがしますね!スピーカーコーナーは何が変わったんですか?
パワーレック:
スピーカーコーナーでは、新たにスピーカースタンドなどを設置しました。以前は全部のスピーカーが棚の上で繋ぎっぱなしという状態だったんですが、聞きたいスピーカーを出して、接続して、スタンドで聞くスタイルに変更しました。
NEUMANNはKH 80 DSP、KH 120、KH 310、KH 750 DSP(サブウーハー)があります。
古賀:
KH 80 DSP聞けますか?このサイズですごく綺麗に低域が出るからすごくいいんですよね。スタジオ用としては、KH 120のDSP版が出たらっていつも言ってます(苦笑)。
パワーレック:
それは欲しいですね!KH 80 DSPの用意ができました。
古賀:
これ、本当にKH 80 DSPが鳴ってますか?DSP補正がいいので、スピーカーが鳴ってるように聞こえないんですよね。補正をONにして聞いてみると、フォーカスが定まる感じがします。補正した音を聞いたことがない人はぜひ1回聞いてみてほしいですね。
パワーレック:
補正が好きでない方もまだまだいらっしゃいますからね。
古賀:
僕の場合、補正結果を見て、吸音などのアナログチューニングを調整するんです。ここの帯域が膨らんでるからもう少し部屋をチューニングしよう、みたいな。補正が嫌いな人もいると思うんですけど、補正したサウンドをそのまま使うだけではなくて、補正をチューニングの基準に使えるんです。その上で、部屋の限界を補正してもらうような使い方をしています。
パワーレック:
デジタル補正で不足する部分をアナログ補正という考え方だったんですけど、逆なんですね。
古賀:
そうそう。補正結果を見てアナログチューニングして、最後にデジタル補正するんです。色々な使い方ができるので、ぜひここで補正した音を聞いてみてもらいたいですね。
サブウーハー導入で中域と高域に余裕をもたせる
古賀:
NEUMANNのサブウーハーもありましたよね。
パワーレック:
KH 750 DSPというモデルがあって、KH 310と組み合わせて展示しています。
古賀:
自宅スタジオではKH 80 DSPにサブウーハーが一番いいと思うんですよね。そんなに大きな音を出さなくてもよくて。低域をサブウーハーに任せられるので、中域と高域の再生余裕をもたせてあげることができるんです。
パワーレック:
こちらのコーナーだと、KH 310とKH 750 DSPの組み合わせで試聴していただけます。
古賀:
これって、KH 750 DSPで補正をするんでしたっけ?
パワーレック:
はい、KH 310はDSPが無いんですが、KH 750 DSPと組み合わせることでKH 750 DSPから補正した音をKH 310に出力して、全体では補正された環境を作ることができます。
古賀:
やっぱり3ウェイまで来ると余裕があっていいですね。補正もとても効果的だと思います。フリーになった時にこの組み合わせがあったら、確実に買ってましたね。こう聴き比べてもさっき聞いたKH 80 DSPはすごいなと思います。KH 750 DSPって、NEUMANN以外でも組み合わせられるんですよね?
パワーレック:
メーカーでは保証されていませんが、組み合わせはできます。ぜひ当店でご相談いただければと思います。
バイノーラルが気持ちよく聞ける開放型ヘッドホンNDH 30
古賀:
そういえば、NEUMANNの新しいヘッドホン、いいですよね。置いてあるんですか?
パワーレック:
NDH 30ですね、はい、ヘッドホンコーナーにあります。挿せば聞けるようになっています。
古賀:
NDH 30はすごくよくて、特にイマーシブのバイノーラルを聞く時にすごくいいんですよ。密閉のNDH 20は以前聞いた時「結構エグい音だな」っていう印象だったんですけど、今聞いたらそうでもなかったです。エージングで結構変わるのかもしれませんね。NDH 30は最初からすごくいいなと思いました。知り合いもiPhoneで鳴らせるなら買うって言って迷ってます。
パワーレック:
NDH 20のインピーダンスは150Ω、NDH 30は120Ωです。iPhoneだとちょっとパワーが足りないかもしれないので、ポータブルアンプやヘッドホンアンプがあるといいかもしれません。
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リニューアルしたスピーカーコーナー、ヘッドホンコーナーではモニター環境の話題などで大いに盛り上がりました。後編ではマイクコーナーにお立ち寄りいただきます。