【YAMAHA新製品レビュー】”持ち運べるMONTAGE”、MODXが「+」に進化!

ヤマハのフラッグシップシンセ、「MONTAGE」の音源とコントロール性能を受け継ぎつつ、エレキギター&ベース感覚の可搬性を実現した大ヒット作「YAMAHA MODX」シリーズ。
発売以来、度重なるアップデートで更に完成度を高めていたMODXが、今回新しくなるとの情報が。

MONTAGEの発売が2016年、MODXシリーズが2018年。ちょっと異例の(?)普及モデルの先行リニューアル、その内容をチェックしてきました!

「+」プラス

MODX7がリニューアルする訳ですから、MODX7IIかMODX7IIFDだったりして・・・なんておっさんの妄想は予想通り外れた訳でして(笑)、新作は「+(プラス)」です。

セミウェイテッド鍵盤の61&76鍵モデルと、GHS鍵盤の88鍵モデルの3種類が引き続きラインナップ。

61鍵モデル: MODX6+(エムオーディーエックスシックスプラス)

76鍵モデル: MODX7+(エムオーディーエックスセブンプラス)

88鍵モデル: MODX8+(エムオーディーエックスエイトプラス)

 

何が変わった?

外観から想像できる通り、ほぼ先代モデルMODXのマイナーチェンジに近い内容です。

  1. FM-X音源の同時発音数が倍増
    音源はサンプリングベースのAWM2音源と、最新版FM音源のFM-Xのハイブリッド構造。MODXではAWM2音源が128音の同時発音数を持っていたのに対し、FM-X音源は64音でしたが、MODX+ではこちらも128音に倍増しています。
    これにより、FM-X音源でダンパーペダルを多用した際に気になった音切れ問題が解消。FMエレピ好きにとっては嬉しい改良です。
  2. 増強されたメモリー領域
    サンプルライブラリーデータの読み込み・保存に使われるユーザー波形メモリー容量が、MODXの1.0GBから1.75GBに拡張されました。これはMONTAGEと同等になった事を意味しています。後述のキャンペーンで提供される4種類のライブラリが、MODX+では全部読み込むことが可能です。
  3. ラバーコーティングのホイール採用

    80年代のSYシリーズ以降変わらないデザインの、クラシックな「ギザギザホイール」が採用されていたMODX。
    MODX+では、MONTAGEと同等のラバーコーティングされたものに変更されました。普段演奏時に触れる部分の質感が向上したことは、演奏時のモチベーションUPにも貢献しますね。
  4. 外装仕上げの変更
    明るいグレー1色のロゴがプリントされていたMODXの背面パネルは、MODX+ではブルー&グレーの2色プリントに。暗めのシルバーだったサイドパネルは、パネルと同色となり、一体感が増した印象です。パネル上のロゴも数字部分の色が明るくなり、より引き立つデザインになりました。
  5. 音色数の拡張

    MODXシリーズでは約2,000パフォーマンス(音色)が用意されていましたが、MODX+はおよそ1割アップの全2,227パフォーマンスがプリセット。情報量が多く反応も素早いタッチパネルを使い、カテゴリ&サブカテゴリで絞り込んだり、音色名で検索したりすることで、膨大な音色データの中から目的にあったサウンドを呼び出すことが可能です。
  6. 最新アップデートがプリインストール
    MODX(MONTAGE)は、リリース後に大きく2回のOSアップデートが行われており、現在はMODX OS v2.5が最新版となっています(2022年9月現在)。MODX+では、これらのアップデートで追加された各種機能は当然プリインストールされています。現役ユーザーの方にはお馴染み&大活躍されている追加機能ですが、発売当時のレポートでは取り上げておりませんでしたので、主なものを改めてご紹介してみましょう。

SMART MORPH/スマートモーフ

MODX OS v2.5で実装された、異なるFMサウンドをモーフィングできる「スマートモーフ」。

最大で8つのFMサウンドを選び(パート9~16にアサイン)、スマートモーフを実行すると、独自のAIによるアルゴリズムにより、X/Y軸上にサウンドを配置。タッチパネルやスーパーノブ(富士山)を使って、各サウンド間を自在にモーフィングさせることが可能です。

上記スクリーンの様に、似たエレピの音色をアサインしておくと、微妙なニュアンス違いのサウンドバリエーションを簡単に生み出すことができます。また、FM音源側のアルゴリズム(オペレーターの配置)が異なる音色も関係なくアサインできるので、かなり無茶(途中でアルゴリズムが変わるなど)な、グリッチ感満載のサウンドが出力されます。


更に、座標軸上へのサウンドの配置等はAIの独自のアルゴリズムによるもので、同じ音色でも都度結果が異なる様です。アサインする音色である程度の方向性は決められますが、あとはAI次第。

パフォーマンス画面状でも、スマートモーフのタッチパッドが表示され、リアルタイムでのコントロールが可能です。

この劇的な変化をパフォーマンスに使うも良し、美味しいポイントを見つけて新しい音色として保存するも良し。複雑なFM音源の音作りを、単なるランダムガチャに頼ることなく、偶発性と意図的なものの比率をコントロールしつつ簡単に楽しめる訳です。連綿と続くヤマハのFM音源研究開発の最新版、是非ご堪能ください。

パターンシーケンサー

実は発売当初、MODXには用意されていなかったパターンシーケンサー&DAWリモート機能。
MODX OS v2.0で追加されたパターンシーケンサーは、リアルタイムレコーディングをベースとした8パターン&16トラックのループシーケンサー。パターンを組み合わせて作ったソングは、無料のVST/AUプラグイン”MODX Connect”を使用してDAWソフトウェア上に転送する事もできます。
MODXシリーズの大きなアドバンテージである「1万種類以上のアルペジエイター」や「モーションシーケンス」を駆使して作った楽曲を、DAWソフトに転送→ソフト音源に差し替えたり、更なるパートを追加したり。v2.5で追加されたDAW Remote機能と併せ、ハードウェアとDAW、双方の良いトコ取りの楽曲制作環境が実現します。

※勿論、MODX+にはDAWアプリケーション”CUBASE AI”の最新版が付属(ユーザー登録後ダウンロード)します。

 

まだまだあります!

コロナ禍前のリリースだったMODXは、「持ち運べるMONTAGE」として、ライブステージでのパフォーマンス/機動性に主眼を置いて開発された製品でしたが、その後の世の中の変貌は皆様ご存じの通り。徐々にライブイベントは復活しつつありますが、自宅での制作だけでなく、配信等の需要は今後も増えていくでしょう。

MODX/MODX+共通の、「今、あえて注目したいポイント」を改めて。

 

オーディオI/O&マイク入力

MODXシリーズには、外部音声を入力できるADインプットが用意されています。ここに入力された信号に内蔵エフェクトを掛けたり、エンベロープフォロワーやサイドチェーン等を適用したりできるだけではありません。こちらはステレオのライン入力だけでなく、ゲイン設定を調整すればマイクの入力も可能。ボーカルマイクを接続して、リバーブを掛けて歌ったり、ボコーダーとして使ったり。

更にMODXシリーズはマルチチャンネルのUSBオーディオインターフェイスとしても機能するため、PCやiOSデバイス(要カメラコネクションキット)と接続して本体のサウンド+マイクの音声信号をそのまま繋ぎ込むことも。
iOSデバイスと接続すれば、内蔵カメラの映像+MODXの音声が扱えるため、高音質な「歌ってみた」やMCを含めた演奏動画の配信が簡単に行える訳ですね。

オーディオトリガーにも対応

配信用途といえば、SEのポン出し(効果音やジングルなど)も必要になってくるかと思います。Roland FA-0xシリーズ等はパネル上に最適なパッドが用意されていますが、MODX+にはありません。但し、オーディオファイルを保存したUSBメモリを接続すれば、最大8つのオーディオデータを鍵盤上にアサインしてポン出しすることが可能です。ライブ等の客入れSE等にも使えますね。

歴代ヤマハシンセとの互換性

MOTIF/MOXF/MONTAGE/MODX等、歴代ヤマハシンセと音色の上位互換を維持しているのも重要なポイント。思い入れの強い音色、まだまだ現役で使えます。更に、WEBアプリのFMコンバーターを介すことで、DX7シリーズやTXシリーズ等、往年のFMシンセの音色をコンバートすることも可能です。音色ライブラリデータは各所でシェアされていたりしますので、温故知新だけでなく、スマートモーフを使って「往年の名音色の魔改造」という倒錯した楽しみ方だってできますよ。

世界中のユーザーとの交流

iOSアプリやChromeブラウザで使えるソーシャルサウンドシェアリングサービス「Soundmondo」を介して、世界中のユーザーと音色データをシェアできます。曲名で検索すると、ドンズバな音色がヒット→そのままMODX+に転送→気に入ったら保存・・・コピバンな鍵盤の方にとってはこれは有難いですね。

勿論、MODX発売時の3本の柱は健在。

  • SOUND・・・MONTAGE直系、PCMとFMハイブリッドの強力な音源
  • CONTROL・・・大画面タッチパネル&SUPER KNOB等、シンプルで効果的な操作系
  • MOBILITY・・・MONTAGEの1/2以下、電車移動も苦にならない可搬性

MODX6+: 6.6kg
MODX7+: 7.4kg
MODX8+: 13.8kg
※ソフトケースは、MODX用ケースが継続販売となります。

まとめ

ざっとご紹介してきましたが、FM-Xの発音数と波形メモリー容量が文字通り「+(プラス)」された正常進化モデルがこのMODX+。

価格はMODXより僅かに高くなっていますが、その差額は先日の主要モデルの価格改定と同等。主要製品が軒並み値上げを余儀なくされる中、しっかり「+(プラス)」相当の付加価値を伴ったモデルチェンジであることは、非常にポジティブなものであることを強調しておきたいと思います。

MONTAGE直系のサウンドと操作性、圧倒的な機動性を持ちつつも、ライブステージだけでなく配信用途にも対応・・・という優等生的な総括も勿論大事ですが、個人的には最新FM音源の変態サウンドが存分に堪能できる楽しさが最大のポイント。是非音フェチの皆様に、そのコントローラブルな偶発的グリッチにまみれて悶えて頂きたい一台です。

 


発売情報

  • 発売日:2022年9月9日(金) 予約受付中!

ラインナップ

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参考記事
【YAMAHA MODX】これは持ち運べるモンタージュだ!?
(MODX発売時の製品レビュー)

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